大西羊『作文集』

作文を書きます。小説も、書くかもしれません。

作文の理由。(もしくは、サッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューについて)

作文の理由(もしくは、サッポロ・ビールの500ml、エクストラブリュー)

 

その日曜日はとても湿っぽい夜だった。夜の一時が来ると、僕はその湿っぽさの中でごそごそと布団に入った。もちろん、うまく眠れなかった。だからあきらめて、しんとした部屋で考え事をしていた。瞑想をするみたいに、ぎゅっと目をつむり、静けさの内側で芸術的な魂を輝かせていた。

うそだ。パソコンをつけて、F1ドライバーの記事を読みながらビールを飲んでいた。どうしてF1ドライバーなのか、それはわからない。とくに意味もない。

そんなF1ドライバーにこんな一文があった。

『作文も書いている。うまくなるというよりは、好きなことを書くという感じで。そしてみんなにも伝わればいいなあという感じで』

僕は飲んでいたサッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューを机の上に置いた。それからちょっと前かがみになり、じっくり、もう一度その文章を読みなおした。そしてもう一度サッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューを手に取り、口をつけた。だけどそれはもうからだった。のそのそと歩いていき、冷蔵庫をひらいた。やはり、サッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューはなかった。

僕はサッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューあきらめた。そして眠った。人がビールに対してあきらめを覚えるとき、それは眠るときだ。僕は布団の中でごそごそと寝返りを打った。また、眠りながらさっきの文章のことを考えていた。

そして、F1ドライバー的朝が来た。僕はごそごそと布団から抜け出し、のそのそとパソコンに向かった。もし、僕の部屋にカメラがあれば、その様子はちょうどグレゴール・ザムザみたいに映っていたはずだ。僕はかたかたとキーをうち、作文を書きはじめた。ザムザ的な執拗さで。

 

僕が作文を書きはじめたのはとにかくそういう理由だった。つまり、特別な作文の理由なんてないのだ。加えて、まだ机の上にはサッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューが置いてある。もちろん、これにも特別な意味はない。執拗なだけだ。

 

 

 

長くなってしまったけれど。

 

とにかく、僕は作文を書いていきます。題して、毎日作文です。ぜひとも読んで欲しいです。感想もお願いします。代価はありませんが、僕が極めて喜びます。ザムザも拍手します。

作文について、断っておくことは基本的にはないです。ただ、言い訳するとすれば、僕はそんなにうまく書けないってことです。もちろん、書けるようになるかもしれません。ですが、そこまではっきり意識してはやらないつもりです。おもしろかったら評価してください。つまらなかったら、まあ、また明日に期待してください。そういうことです。

さて。ひとつ書いたので、僕はサッポロ・ビールの500ml、エクストラブリューを探しに行きます。夜には帰って来ます。たぶん。帰って来なかったら電話してください。ザムザが言づてを預かってくれるはずです。たぶん。